「寒波が来て気温がマイナスになりニュースで「水道管破裂の恐れがある」と言っていたけれど「水とお湯を出しっぱなしにする」とか「保温カバーを巻く」ってどうすれば良いか分からない。」
「凍結で水道管が破裂しやすい家やパイプの特徴があれば教えて欲しい。」
そんな疑問を解決するブログ記事です。
水道屋歴25年の私が寒波が来る前にやるべきこと、水道管が破裂しやすい家やパイプの特徴を解説していきます。
水道管が破裂すると修理費で一箇所最低2万円ほどの費用がかかります。
しかも寒波で水道管が破裂する時は、水道屋さんに修理依頼が何十件も殺到するのですぐに修理してもらえない時があり、運が悪ければ数日間水道が使えないことがあります。
事前の対策をとって「何事もなかったね」「心配性なんだから」と安心して笑えたら良いですよね。
水道管凍結予防の2つの方法とは
- 外に露出している配管や蛇口に布を巻き、その上にビニール袋をかぶせる。
- 水とお湯が出せる蛇口から少しずつ水を出しっぱなしにしておく
これだけでかなりの確率で水道管凍結を防げます。
水道管凍結で漏水しやすい家の特徴
- 築年数20年以上
- 水道やお湯の配管をやり変えていて外に見えている配管がある
- 外の配管の保温カバーが破れている
- 銅パイプを使っている
- 鉄パイプが錆びている
- ビニールパイプを使っていてカバーが破けてパイプが日に焼けている
水道修理を依頼するときに役に立つ記事も書いています。
水道管が凍結する条件
気象情報を観ていれば天気が雪や氷のマークで気温がマイナス表示になると、「水道管凍結の恐れがあります」とナレーションされます。
私の住んでいる地域は鹿児島で気温がマイナス表示になるのは数年に一回程度です。普段は水道管が破裂するほど気温が下がらないのでマイナスまで下がってしまうと備えを怠った家屋で水道管が破裂して修理依頼が殺到します。
水道管凍結での修理依頼は−1℃になってから来ることが多いです。気温が−3℃まで下がった時は修理依頼の電話が鳴りっぱなしになりました。
三日間の修理件数が50件を超えていたのを覚えています。
この前の寒気では大丈夫だったから、今回も大丈夫と思って凍結予防しない人が多いのですが。前回はたまたま凍結しなかっただけで今回は凍結して水道管が破裂するかもしれません。
「備えあれば憂いなし」で油断することなく凍結予防しておきましょう。
私の実感ですが、凍結による水道管破裂は9割以上が外の配管で1割程度が家の中の床下や壁の中でおこるので、外に出ている配管に特に気をつけてください。
何年かに一回くらい凍結する地域のほうが備えが薄いので、気温がマイナスまで下がると凍結で水道管が破裂することが多いと思っています。
水道管が凍結するとどうなるのか
それでは水道管が凍結するとどうなるのかを解説します。
蛇口は真鍮でできていることが多くゴムパッキンで蓋をするような形で水を出したり止めたりできるような形になっています。
蛇口の中が凍ったままで無理をして蛇口を回すと金属部品が壊れたり、パッキンが破けて水が止まらなくなります。
蛇口が凍結して動かない時は無理に力を入れずに人肌程度のお湯をゆっくりかけて溶かすか、ドライヤーで温風を吹きかけてください。
すぐに溶かそうと熱湯をかけると、蛇口が壊れてしまうので絶対にやらないでください。
水道管が凍結するときは全体的に氷ができることは少なく、風がよく当たる場所などの一点に集中して氷ができることが多いです。
一点に氷ができるとその部分だけコブができたように膨らんで破裂するケースがよくあります。
水道管破裂の場合はこの膨らんで破裂した部分だけを取り替えて修理することが多いです。
コブのようになった氷が栓をしたようになって、そこから先の配管に水が通らずに修理することがありますが、配管が破れていなければ氷が溶けて少し水が出ると、流れていく水が氷をどんどん溶かしてすぐに元通りの状態になります。
水道管が破裂した場合に気づくのは昼以降の場合が多いです。
配管内の氷が栓をしている状態になっているので、破けてもすぐに水が吹き出さずに気温が上がって氷が溶ける12時頃から修理の依頼が殺到します。
水道管凍結予防方法
水道管が凍結しないための予防法を紹介します。
大事なのは二つ。
- 外の配管に保温カバーをする
- 水を出しっぱなしにする
外の配管を見て保温カバーをする
まずは凍結する可能性があると天気予報で報じていたら外の剥き出しになった配管をチェックしてください。
水道管が破裂しやすいのは9割ほど外の配管からです。築30年以上の家では、古い配管が漏水すると工事費が高くなるので外から配管をやりかえることが多いです。
この外の配管の保温カバーが破れていたり、脆くなっていると破裂しやすいので、保温カバーが破けている所は布を巻いて上からビニール袋で濡れないように保護します。
時間に余裕があるのならホームセンターで水道管専用の保温カバーを買って巻いておくのが良いです。
布や保温カバーを巻く時は水気が入らないように、はしっこやカバーの継ぎ目をしっかりとテープなどで補強しておいてください。
布や保温カバーは空気の層を作ることで保温されるようになっています。水に濡れてしまうと寒さが伝わりやすくなるので、せっかくカバーをしても凍りやすくなります。
外の蛇口にも布を巻いた上にビニール袋をかぶせて保温しましょう。蛇口の先から水だけ出せるようにして巻くと水を出しっぱなしに出来るので先の方だけ水を出せるようにしましょう。
凍結しそうな日は水を出しっぱなしにしておく
水を多めに出しっぱなしにしておくのが大事になります。
出しっぱなしにする水の量ですが、ポタポタくらいの水の量だと途中で水が凍って止まってしまうので、スーッと水が連なるくらい出しっぱなしにしておいてください。
実際に私の住む地域がマイナス2℃を記録した日に外の蛇口から水をポタポタ出しっぱなしにしていましたが、夜のうちに止まって朝に見た時はハンドルが凍りついて回せなくなっていました。
水を出しっぱなしにしていると水道代がもったいないと思いますが、一晩水を出しっぱなしにして100リットル使っても一般的な4人家族ならば50円くらいの水道料金です。
「水を出すのは一箇所だけでいいのですか?」と聞かれるのですが、水とお湯の出せる所は全部出してください。トイレと洗濯機は出しっぱなしが難しいのですが、「流し」「洗面」「お風呂」は水とお湯の両方。「外水栓」も全て出しておきましょう。
お湯の配管から出す時は給湯器のスイッチを切って寝る前に出しっぱなしにしておいてください。
水道管が破裂した場合の修理費用は2万円以上するものなので大事な予防措置として思いきって水を出しましょう。
水を出す量はこれくらい出しておかないと気温が低くなると途中で止まってしまいます。
凍結による水道管破裂しやすい家やパイプの特徴
実際に凍結しやすい家の特徴は
- 築年数が20年以上
- 水道やお湯の配管をやり変えており家の外に配管がある
- 風が強く当たりやすい地形
- 外の配管のカバーが破れている
凍結しやすい家の特徴として築20年以上の家をあげています。この時期までの家は金属を使った配管を使っていることが多く、経年劣化で配管自体が脆くなっている可能性が高いので凍結しやすい傾向があります。
水道やお湯の配管をやり変えていると外の壁から宅内に配管をすることが多いので、壁や床下のように風を遮っていないので凍結しやすいです。
同じ理由で配管をしている場所が家と家の隙間で風が通り抜ける場所だと、冷たい風がたくさん当たって配管の中が凍りやすいです。
外の配管をしてから長い時間がたっていると保温カバーが破けていることが多いので、凍結する可能性が高くなります。
凍結しやすい管
- 銅配管
- 鉄配管
- それ以外の金属製管
凍結で管破裂を起こす割合が一番高いのは「銅配管」というパイプです。
「銅配管」は外側にプラスチックのカバーがあるのですが中のパイプが1ミリ程度と薄く金属の中では柔らかいので氷が管内で出来るとコブのようになって破けてしまうことが多く発生します。
20年ほど前から使うことが少なくなっているパイプなのですが、築年数が古いと使用している家が多いのが現状です。
特にお湯の配管に使われることが多く、お湯の配管が漏水して「銅配管」にやり変えているケースが多いです。
なぜそんな凍結に弱い配管を外に使っているのだと思うかもしれませんが、「銅配管」は紫外線に強く、紫外線に弱い「塩ビ」や「架橋ポリエチレン管」の代わりに多く使われていたのです。
「銅配管」に使われている薄いカバーだけでは保温効果が低いのも凍結の原因なので「銅配管」を使っている場合は「ライトカバー」というカバーをしてテープで補強すると凍結に強くなります。
「鉄配管」は錆びて脆くなっている部分が凍ると管破裂を起こしてしまいます。錆びていない部分は頑丈なので漏水はしないのですが氷が栓をした状態になってそこから先の水が出ないことがあります。
「鉄配管」が錆びている場合は、凍結しない時期でも漏れ出す危険があるので取り替えることをオススメします。
それ以外にも給湯器の近くで使う「フレキ管」や「真鍮継手」など金属でできている管は熱を伝えやすいので凍りやすい傾向があります。カバーがない状態ならば「保温カバー」を被せるようにしましょう。
また「塩化ビニール」や「架橋ポリエチレン管」などは紫外線に弱く屋外で使用していると脆くなっていることがあります。
「塩化ビニール」は白っぽくなっていると脆くなっている証拠なので気をつけてください。「架橋ポリエチレン管」も紫外線を通さないカバーの仕方をしてない場合は脆くなっていることがあります。
凍結した場合の対処法
凍結してしまった時の対処法をお伝えします。
蛇口が凍った場合は「ドライヤー」を使うのが良い
蛇口から水が出ない場合に熱湯をかけようとする方がいるのですが、急激な温度変化で蛇口が壊れてしまう恐れがあるので絶対にしないでください。
ぬるま湯をかける方法もあるのですが一番のオススメは、「ドライヤー」です。
凍っている蛇口を溶かすのには5分くらい温め続けないといけないのでぬるま湯をかけ続けるのは大変です。
「ドライヤー」は、ほとんどの家にあるもので凍っている蛇口に長時間当て続けることができます。
すぐに使う必要のない蛇口で昼から気温が上がる時は時間が経って自然と溶けるのを待つ方が良いです。(長期間冷え込む予想ならば「ドライヤー」で溶かしましょう)水が出るようになったら冷え込む時は水を出しっぱなしにするようにしておきましょう。
水道管が破裂した場合の対処
意外に思うかもしれませんが、水道管が凍結して漏れ出すのは朝ではありません。
気温が上がる昼頃に管から水漏れして気づくことがほとんどです。私たち水道屋に修理の依頼が来るのも昼から電話が鳴りはじめ何十件も電話が鳴り続けます。
水道やお湯が出ないと思ったら配管内に氷ができている可能性が高いので用事がなければ出かけずに漏れ出さないか確認した方が良いです。
水漏れを起こしたら水道メーターの元栓で水道を止めてください。
その後に給湯器の水を止めてから元栓を開けて様子をみてください。お湯の配管からの水漏れならば給湯器の止水栓を閉めれば、水を使うことが出来るようになります。
凍結による破裂が起こると水道屋は大変
よく「水道管が凍結すると水道屋さんは儲かるのでしょう?」と聞かれますが「私の会社は儲かっていません。」
実際には凍結がなくても仕事がたくさん入っている状態です。凍結修理で仕事がある分、元々入っていた仕事を止めている状態なのでプラスマイナスゼロです。
1日に30件ほど対応することになり次々と終わらせないと、回り切らずにその日に水が使えずに困ってしまうので応急処置でとりあえず使えるようにしていきます。
そうするとまた別の日に行って作業をする必要があり手間を食うわりに、お客様が突然の出費で困っているので高く修理費を請求することもできず利益も上がりません。
寒い日なので道路状況も悪くチェーンタイヤをはかせて渋滞している中を走りまわります。
当然元々やるべき仕事が遅れて突貫作業をするので体を壊すことがあります、本当に凍結による管破裂が起こって欲しくないと思っています。
今回の水道管凍結予防のブログ記事を書いているのも「一件でも水道管破裂が無くなって欲しい」という思いから書いています。
皆さんも寒気がきたら外の配管に保温対策と水お湯を出しっぱなしにして水道管凍結を防いでください。
まとめ
天気予報で気温がマイナスになっていたら水道管が凍結して破裂する危険があります。
まずは家の外の配管を見てまわり外に露出している配管のカバーが破れていないか確認しましょう。破れていた場合は、布を巻き付けた上にビニール袋をかぶして濡れないようにしましょう。
外の蛇口にも布とビニール袋でカバーをしておきましょう。
夜寝る前に給湯器のスイッチを切って、水とお湯の両方を出せる所は全て出します。全てとは「流し」「洗面」「お風呂」「外水栓」等「トイレ」や「洗濯機」など少しの量の水を出しっぱなしにするのが難しい場所以外は出しっぱなしにしてください。
凍結で管破裂しやすいのは、「銅配管」や錆びた「鉄配管」です。特に気をつけてその配管の先の水を出しっぱなしにするのを忘れないようにして時間と資金に余裕があるうちに取り替えておきましょう。
もしも凍結して蛇口が動かない場合は「ドライヤー」を使って温めるのがオススメです。
水道管が破裂して漏れ出すのは暖かくなる昼頃からが多いです。凍結した日は家にいるようにして破裂して漏れた時は、水道の元栓を閉めてください。
給湯器の止水栓を閉じて元栓を開けて水漏れが止まる時はお湯の配管が破裂しているので、給湯器の止水栓を止めっぱなしにして水を使えるようにしましょう。
水道管が凍結すると水道屋さんは儲かると思っている方が多いと思いますが、実際は儲けは薄く普段から行っている仕事ができないので大変な思いをします。
出来るなら一件でも凍結による水道管破裂が無くなって欲しいと思うので、これを読んでいる皆さんは水道管凍結に備えてください。
それでは今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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